先日、「うつ病治療 常識が変わる」という本を読みました。
この本は、2009年にNHKで放送された「NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる」と「クローズアップ現代 抗うつ薬の死角」の内容に追加取材を加えて書かれた本です。
前半は、現代日本で行われているうつ病治療・抗うつ薬の多剤処方について書かれているのですが、これが、非常に興味深い。
精神科、心療内科に通われている方・精神薬を服用中の方・ご家族に闘病中の人がいらっしゃる方・・・ぜひ読んでみてほしい本です。
目次から少し紹介しますと、
第一章 ”不適切”な投薬 症状を悪化させる多剤併用
第二章 クリニック乱立の闇 なぜ診断がバラバラなのか?
第三章 抗うつ薬の死角 封印されてきた危険な副作用
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けして、精神薬を全面的に否定する内容ではないですし、私たちは、決して抗うつ薬の効能や存在意義を否定しているわけではないとプロローグにも書かれています。
私が特に興味深いと思ったのは、
・「抗うつ薬の投与は基本的に1種類」というのが国際的にも共通の大原則だそうで、2種類以上抗うつ薬を処方する多剤療法は日本独特の治療法だそうです。
・本当は躁うつ病であるのに、うつ病と誤診され、うつ病治療の薬を投与されたことにより、症状が悪化して暴力性などが高まる場合があるそうです。
・同じ患者さんが複数のクリニックに行き、同じように症状を訴えても、診断名も処方される薬もバラバラ。
1種類のみの処方の病院もあれば、初診から数種類の処方をしてくる病院もあります。
・SSRIは危険な副作用があるということで、アメリカでは訴訟なども行われているそうです。
精神医療や精神薬というものは、長年の研究を重ねて確立されてきたものですから、
けして、全面否定するようなものではないと私は思っています。
ただ、どんなこともそうですが、何事にもプラスとマイナスがありますから、ちゃんと知識を得て、賢い判断をしなくてはなりません。
自分の体・心は、自分で守るしかありません。
医師や薬が守ってくれるわけではありません。
次回は、7月8日(月)18時更新です。