パニック障害についての統計というと、いろいろなものがあると思いますが、
先日読んだ本の中で、興味深い統計があったのでご紹介します。
アメリカの精神科医キャロル・W・バーマンという方のパニック障害100のQ&Aという本なのですが、
長年、精神科医としてパニック障害の患者さんを治療してきた著者が、パニック障害に関わる100の質問に答えるという形の本です。
パニック障害に関する基本的な知識・診断・病因・病気の経過・対処法などなど、アメリカと日本の違いはありますが、精神薬についてもいろいろな質問に答えてくれています。
その中で、
・年間に人口の30~40%は、パニック発作を起こす。
・パニック障害の生涯有病率は、およそ3.5%。
・パニック障害の多くは広場恐怖を経験する。
・正しい治療を受ければ、1ヶ月かそれ以内にパニック発作が消える確率が90%。
という内容がありました。
著者の出した統計だと思いますが、
年間に30~40%がパニック発作を起こすのに、生涯有病率は3.5%というのは、
パニック発作が起きても、それほど気にせずにそのまま通常の生活を送れる人もたくさんいるということです。
では、なぜ、パニック発作からパニック障害になってしまうか?というと、
広場恐怖を多くの方が経験するため、予期不安(またパニック発作が起きたらどうしよう・・・という不安)が起きて、悪循環が始まります。
*広場恐怖=パニック発作が起こりそうな場所・状況への恐怖。パニック発作が起こった場合、逃げるのが困難な場所・状況への恐怖。
ただ、この著者が言うには、
正しい治療を受ければ、1ヶ月かそれ以内にパニック発作が消える確率が90%だそうで、
これは少し驚きと言いますか、少し違うようにも思います。
常々私は、パニック障害で1番厄介なことは重症化することだと思っています。
もしパニック発作が起きたとしても、その症状を怖がらず、また起きたらどうしよう・・・なんて考えずに流すことができたら、それは、ただの体調不良です。
やはり1番厄介なのは、また起きたらどうしよう・・・という予期不安であり、家にいる時も不安を感じるようになってしまうと、ものすごいストレスですから、益々悪化していってしまいます。
そうして悪化してしまった方が、生涯有病率のおよそ3.5%の方々で、
おそらく、治療を受けていても、1ヶ月やそれ以内では治っていないと思います。
私は以前住んでいた地域で「パニック障害治療の第一人者」という医師の元に通っていた時期もあり、パニック障害に効くと言われているパキシルを投与されていた時期もありましたが、約1年通っても、まったく良くなりませんでした。
統計というのはあくまでも統計であり、
パニック障害という病名は共通かもしれませんが、各々が抱えているストレスや環境、心の強さや体の強さは人それぞれですから、
やはり、各自が自分の体と心を治す!という意識が大事だと思います。